Pet Medical Japan

国際協力

国際協力

日本ペット診療所が理念とする “With All Living Things (全ての動物とともに)” の精神に基づき、ペットや家畜と野生動物を区別することなく、よりよい獣医療を提供できるよう、国際的な取り組みに積極的に参加しております。

インドネシア政府との連携

このたび、日本ペット診療所は、インドネシア政府と連携して、希少野生傷病鳥獣の治療技術を提供していくことになりました。
インドネシア共和国の国立公園や野生保護区に当院の獣医を派遣し、現地の獣医師と協力して、野生動物のレスキューや傷病鳥獣の治療に努めてまいります。

希少野生動物の実情や地球環境の大切さを学び、より幅広い動物への対応力を身に着け、世界水準で活躍できる獣医療のプロフェッショナルを目指して行きたいと考えております。
インドネシア政府との連携 インドネシア政府との連携

主な派遣・研修先

カリマンタン島
グヌン・パルン国立公園
Samboja Lestari国立公園
スマトラ島
ブキ・バリサン・セラタン国立公園
Way Kambas国立公園
ギアム・シアック・ケチル・ブキット・バトゥ生物圏保護区
イリアンジャヤ
ロレンツ国立公園

プロフェッショナルの育成

日本ペット診療所は、動物医療のさらなる発展に貢献するため、後進の育成に力を入れています。
私たちの国際協力における活動は、獣医療のプロフェッショナルの育成を目的の一つとしています。

かけがえのない動物たちの命の重さを背負うことが、我々獣医療従事者の使命です。
希少野生動物のレスキューや治療に携わることを通して、野生動物を取り巻く現状を知り、地球環境の大切さを学び、危機的状況にある動物たちの救命、重症化の防止、野生復帰のためのリハビリなど、幅広い対応力を身につける。
日本ペット診療所には、動物を真剣に学び、世界水準で活躍する獣医療のプロフェッショナルを目指すための環境が整っています。

私たちが構築したこの環境を、本気で動物医療に携わりたいと考えている学生、獣医師、愛玩動物看護師の方々に知っていただきたいと思っております。
日本ペット診療所では、一緒に動物医療の発展に貢献してくれる方を求めています。
プロフェッショナルの育成1 プロフェッショナルの育成2

日本ペット診療所 院長 山川 晃平

院長 山川 晃平
皆さんは何がきっかけで動物好きになりましたか?
図鑑やテレビ、動物園で見た、様々な動物たちに胸を躍らせ、ワクワクし、そんな憧れから動物好きになった方も多いのではないでしょうか。

この度、我々はインドネシアの保護区で希少野生動物の救護に携わることになりました。
インドネシアはオランウータンやジャワサイ、スマトラトラなどの大型哺乳類から数々の希少鳥類爬虫類の生息する世界的にとても貴重な地域です。
子供の頃憧れ、動物好きにさせてくれたあの様々な動物たちを実際に診療していく、ということに胸の高鳴りが抑えられません。

今後世界各国の獣医療関係者と連携しながら、野生動物救護にあたっていくことになります。
私どもと同じような志を持つ学生の方はもちろん、すでに臨床に進まれている獣医療関係者の方も、きっとその経験や知識を活かせる場があります。

国内当院、当施設内の動物たちの診療を通じて、犬や猫、家畜以外の動物たちの診療法、確立された治療法の野生動物への応用方法を学び、インドネシア現地で実際に救護にあたること、また世界各国の獣医療関係者との技術交流を通じて、野生動物医療におけるプロフェッショナルの育成を目指します。
賛同、共感していただける方々を一人でも多く、お待ちしております。

日本ペット診療所 常勤顧問 パンク町田

常勤顧問 パンク町田
現在各国で野生動植物の保護が注目されていますが、その理由をご存じでしょうか。
おそらく「動植物が可哀そう」、「絶滅を防ぐため」などのような捉えやすく即座に多くの人々の御理解・賛同を得やすい部分を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
むろん私自身「絶滅を防ぎたい」、「可哀そうな動物たちを救いたい」という気持ちが原動力となっています。
ですがその動植物の保護活動を行うことは環境保全と同意義であるため、私たちの生活環境の保全そのものでもあるのです。

例えばパンダを守るには竹林を守るということであり、竹林を守るには風土自体を守らなくてはならず、それは自ずと私たちの生活環境が100年たっても、1000年たっても変わらないことが保証されるということです。
むろん日本でも同じようにオオタカやツル、ハクチョウなどの水鳥を守ることで、環境が維持されています。

ここでお気付きの方もおられるかもしれませんが、もし本当に数が少ない生物だけを保護してしまうと、局部的な保全で終わってしまうと言うことです。
ですからオオタカなどのように程よく生息数の多い生物を保護してゆくことで、環境保全のバランスがとりやすくなるのです。

そこでまず私達にできることは何か・・・。
猛禽類など希少生物の繁殖技術を通じ、インドネシア共和国の希少動物の繁殖技術の交流・支援を皮切りに、環境変化の進行が著しい国々へ経験や技術サポートを中心とした交流を深め、「より良い人類とそれ以外の生物の平和的共存を具体的に実現してゆくこと」ではないかと考え、以前より友好関係にあったインドネシア政府と念密なセッションを莫大な時間と労力を踏まえたことで、保護施設や研究施設への交換研修会や実働的な傷病鳥獣医療までもを紹介する学校を設立し、知識・技術の伴った人材の教育計画を手中に留めることが出来ました。
これは誰もが望むべきプロジェクトでなければならないことなのですが、同時に一人或いは少数でできるプロジェクトではないため、これらの活動と共に皆様の賛同を必要とするものです。

私たちと一緒に学びたい方、進みたい方・・・。
これからも私たちの活動を何卒お見守りお願いいたします。

2025年活動報告

国際協力の一環として、インドネシアの主要な国立公園を3班に分かれて訪問しました。
訪問先では希少動物の治療についてレクチャーし、また保護活動に参加し、現地の獣医師やスタッフと意見交換を行いました。
動物病院としての活動報告を、班ごとに以下にまとめます。

1班活動報告 (Way Kambas国立公園)

1班 Way Kambas国立公園 1

活動期間: 8/31〜9/7

メインの活動拠点として1班が派遣されたのは、スマトラ島南部のlampung県にあるWay Kambas国立公園にあるスマトラゾウとスマトラサイの保護施設でした。

スマトラゾウ、スマトラサイは、どちらも人間の活動拡大によって生息数を減らした経緯があり、現在は保護区において、それぞれ治療や管理が行われています。
ここでは、それぞれの施設で病気や治療についてお話を聞くことができました。

スマトラゾウは、治療、ケア方法についても象使い(マフート)を中心に、日本で言う所のハズバンダリートレーニングによる皮膚のケアや、蹄の管理、体重測定、点滴、注射、一部の外科処置が行われています。
管理下の象たちは日中の間に放牧のように草原で採食などを行い、夕方に池での沐浴を行うルーティンがあります。
象たちは自分で食べる草を選び取って体調管理をしているという事実にとても感心しました。野生動物や人間の祖先には備わっていた能力なのですね。
日本にも飼育下のスマトラゾウが輸入された経緯があり、将来的に輸送を行う場合の方法論や展望について知見を交換しました。

スマトラサイについては、警戒心が強く、飼育管理に重きが置かれており、治療は少ない反面、繁殖に力が入れられています。
スマトラサイでは人工授精(AI)技術の確立を目指しており、付随したホルモン値の測定や、超音波検査等を行っています。
こちらからは、繁殖について日本の家畜繁殖の例などについて情報共有しました。

国立公園では、ゾウ、サイ施設とも設備面での老朽化や薬剤を確保するルートが少ないなどの問題を抱えており、常用している薬品のリストや手に入りにくい駆虫薬について聞き取りを行い、政府間を通して日本から協力する方法を模索していく事となりました。
途中、小動物臨床に携わる獣医師の方とも話す機会があり、日本の獣医療技術についてご紹介することが出来ました。
  • 1班 Way Kambas国立公園 2
  • 1班 Way Kambas国立公園 3
  • 1班 Way Kambas国立公園 4
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2班活動報告 (Samboja Lestari国立公園)

2班 Samboja Lestari国立公園 1

活動期間: 9/29〜10/5

メインの活動拠点として2班が派遣されたのは、カリマンタン島南部のSamboja Lestari国立公園にあるオランウータンとマレーグマの保護施設でした。

印象的だったのは、十分に整った設備があるとは言えない環境でも、スタッフ一人ひとりが役割を分担し、限られた資源の中で最善の治療や手術を行っていたことです。
その姿勢に強く感銘を受け、私たちも今後どんな状況でも「できる最高の医療を提供する」という気持ちを忘れずにいたいと感じました。

一方で、今回の訪問では私たちから提供できたこともありました。
Sun bearやOrangutanの治療薬の一部がインドネシアでは入手困難であることを伺い、日本の医療技術や薬剤の共有を通じて支援できる可能性をお話ししました。

さらに、最終日には3日間お世話になった先生がロッジまで会いに来てくださり、談笑の時間を過ごせて、その中で互いの文化や考え方を共有し、国を越えた理解と友情を深めることができました。

そして、宿泊していたロッジでは、私がメロンアレルギーで食べられないと伝えたところ、スタッフの方が毎回別のフルーツを用意してくださるという温かい配慮をしてくださいました。
感動して最後の日にお礼の手紙を渡すと、渡したスタッフがとても嬉しそうに他のスタッフに見せに行き、最後にスタッフ全員が笑顔で「ありがとう」と伝えに来てくださり、感謝の気持ちが互いに伝わり合う幸せな瞬間となりました。

今回の訪問が、動物医療を通じて日本とインドネシアの心をつなぐ小さな一歩になることを願っています。
これからも、私たちにできる形で、両国の架け橋となれるよう努力していきたいと思います。
  • 2班 Samboja Lestari国立公園 2
  • 2班 Samboja Lestari国立公園 3
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